砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
私は大きく深呼吸をした。

「何も。今は医学の道を、ひたすら歩むだけです。」

「分かった。千奈ちゃんがそう言うのなら、僕も応援するよ。」

私は思わず笑ってしまった。

「先生は、『俺のところに戻って来い。』って、言ってくれるのかと思っていました。」

「ははは。確かに思ったよ。でも、千奈ちゃんはそう言っても、断るだろ。アムジャドを想い続けますって。」

「はい。その通りです。」

そして二人で笑い合った。


この広い空の下に、アムジャドがいる。

それだけで、私の心は満たされる。

アムジャドも頑張っているのなら、私も頑張れる。

そして、一人前の医者になった時、堂々とアムジャドに会いに行こう。

こんなに立派になったよって。

今までずっと……アムジャドを想っていたよって。
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