次の演奏は花山南高校吹奏楽部ですっ!〜部活大好き彼氏が甘すぎる〜
|《支えるよ》


「今日は、初めて合奏をします!ある程度の譜読みをしておいて下さい!」

志乃先輩が前で話し始めた。

「今日合奏するのは、「学園天国」と、「ロコモーション」です!難易度は高くないはずだから、2年生も教えてあげること!」

私はため息をこぼしながら横目でチラッと柊を見る。
初めての合奏にワクワクしているのか、今にも動き出しそうに椅子を揺らしている。

「じゃあ、合奏体型にしてからパート教室に行ってください!」

皆が立ち上がると同時に、柊は打楽器スペースに行きタンバリンを手に取った。

「柊!ストップストップ!」
「え?練習だろ?」
「ばか、合奏体型に机と椅子を並び替えるのが先」
「え、俺ら楽器あるじゃん」

うちの学校の音楽室には、打楽器スペースと言って打楽器がたくさん置いてあって打楽器の人が練習できる専用のスペースがある。でも、少しずらさないと合奏体型には出来ない。

「てことだから、はい、手伝うよー」
「えー?ちぇー」

柊は不服そうな顔をして、私のほっぺを引っ張った。

「いひゃいいひゃい、てか」

距離が近い。

「渚のほっぺってぷにぷにだなー、好き」
「…は?!」

見上げるとニヤニヤした確信犯と目が合った。

「──っ!!ほら!手伝うよ!」
「えー?なんか言うことないのー?」
「あるわけないでしょ?!ばか!」

この時は気づいてなかった。

茶髪美少女 華ちゃんが

私たちを睨みつけていたことに。
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