次の演奏は花山南高校吹奏楽部ですっ!〜部活大好き彼氏が甘すぎる〜
バッとみんなが立ち上がる。

「よろしくお願いします!」

やる気無さげだったキラキラ系も、イケメンに痺れたのか、1位2位を争うスピードで立ち上がった。

「…イケメンってすごいわ」
「何?渚、兄貴に惚れたの?」

マレットをぶらぶらさせながら聞いてくる柊に目配せをする。

「違う違う、あの子たち、急にやる気出したと思って」
「…ふーん、ま、いいや、すぐ分かる」
「?」

意味深な言葉につづいてマレットで私の足にアタックし、マリンバの方へ歩いていった。なんなんだ?

「それでは、まずは「学園天国」、初めからやってみましょう」

これはタムが命。バスドラよりタムを大きく、強弱に忠実に。
なんて考えながら叩いていると、

「はい止めて」

サビにもいかないあたりで止められた。そりゃそうだ。メロディごちゃごちゃ、低音揃わない。止める他ない。

「…お前らやる気ある?」
「?!」

爽やか笑顔から清々しい程に暴言を吐かれて、皆の動きが止まる。

「ここまでとはなぁ、お仕置されたいの?」

バッと柊の顔を見ると、柊はへにゃっと力なく苦笑した。

「今日は一旦辞めるね、あ、でも、ドラムは良かったね、後でご褒美してあげる」
「?!」

ご褒美を「あげる」のではなく「してあげる」と言う発言に、背筋がゾワっとした。

後から柊に聞いたが、そういうおかしな性癖は持ってるものの、大事な生徒には手を出したことは無いらしい。

それより大変なのは、周りからの妬みだ。
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