次の演奏は花山南高校吹奏楽部ですっ!〜部活大好き彼氏が甘すぎる〜
2、Grandioso

第一楽章

|《上手い人、そうじゃない人》


「今年はコンクールB部門に出ることになりました!とは言っても、オーディションでメンバーを選びます!」

志乃先輩が前に立って説明する。

キラキラ系は、コンクールとかオーディションとか特別な言葉に弱いんだろう、しっかり聞いていた。

「上手い人が吹いて、そうじゃない人がサポートする、単純明快でいいでしょ?」

佐々木先輩がニコッとしながら黒板に書いていく。

「フルート3人、オーボエ2人、クラ4人、バスクラ1人、サックス4人、トランペット3人、トロンボーン3人、ホルン3人、ユーフォ2人、チューバ2人の打楽器3人!管楽器はオーディション確実にやるよ!」

そう、打楽器は人数が少ないから、オーディションは出来ないのだ。

「ねぇ渚、俺らはオーディション無いの?」
「うん、やりたい楽器が被ったらするってくらいかな」

ここのところ皆やる気を出してきている。というか、東日本大会(A部門で言う全国)に行きたいとまで言い出していた。

中学の時は、そこそこやって県大会ダメ金くらいだった。

「…行ってみたいな、東日本」

そっと口に出すと、志乃先輩がふわっと笑った。

「行こうよ、東日本!」
「俺も、行きたい」
「…そのためには、上手くならなきゃね」

志乃先輩と柊は決意の表情を浮かべていた。

――私も頑張ろう、もう絶対後悔しないために。

中学の記憶が蘇ってくる。
私は頭を振って深呼吸をした。
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