次の演奏は花山南高校吹奏楽部ですっ!〜部活大好き彼氏が甘すぎる〜
「…え?嘘…」
「なんで今さら…?」

突然音楽室がざわつき始めた。

(なんだろ)

ドアのところを見ると、駅前コンサートでソロやその他諸々すっぽかした、あの茶髪の華ちゃんが立っていた。

「…ちょっと、今頃戻ってきて、どういうつもり?あなたのせいで、皆がどれだけ迷惑したか…!」

佐々木先輩の話に耳を貸さず、私の元へ歩いてきた。

「…なに?」

華ちゃんは唇を噛み締めて、キッと私を見上げると

「華、謝るつもりないから!あんた以外の部員の皆には迷惑かけたと思ってる」

と言った。

「っ何それ…!私だって」
「あんただけは謝らない、気に入らないから!あと、部活辞めたりなんかしないから」

私は目を見開く。気に入らないってだけでそんなに軽蔑する?ありえない。

そんな私に目もくれず、華ちゃんは後ろにいる私以外の部員の方を向いて、深く頭を下げた。

「先日は、本当にすみませんでした」

ザワっとする音楽室。

「…この前の迷惑分を取り戻せるくらい練習すること、以上!」

戸惑う空気を断ち切ったのは、佐々木先輩だった。

「先輩っ!」
「渚ちゃん、落ち着いて」
「でも…!」
「今は恨んで追い返すより、そんな奴気にしないで練習した方が良いでしょ?違う?」

先輩の言葉に何も言い返せずにいると

「華ちゃん、オーディションは出るんだよね?」

志乃先輩が尋ねた。

「はい、もちろんです」

華ちゃんは答えた。
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