次の演奏は花山南高校吹奏楽部ですっ!〜部活大好き彼氏が甘すぎる〜
「ねぇ、行くのやめない?バレたら…」
「えー?なに、怖いの?」

私たちは志乃先輩を起こさないように、そーっと部屋を出た。

「静かにね!絵美子、スマホのライト点灯!」
「了解…!」
「何してんの?」

廊下に出た瞬間、女の子の声に話しかけられた。

「だ、誰っ?!」

振り返ると、華ちゃんがいた。

「あ、華ちゃんか、びっくりした…」
「それはこっちのセリフ、今川さん達何してんの?」

華ちゃんはいつもは下ろしている髪を括っていた。
…可愛い。

「あ、えっと…私たちは…、は、華ちゃんは何で…?」
「華はトイレよ、お腹痛くて」
「そうだ!華ちゃんも一緒に肝試ししようよ!」
「は?」

あろうことか舞奈はもう1人仲間を増やした。

…確かに数が多い方が、狙われにくい。

「…華ちゃん、行こう」
「っは?!渚まで何言ってんの?!」

華ちゃんは、呆れたように私の肩を掴んでガタガタと揺らした。

「無理に決まってるでしょ?!もしほんとに出たりしたら…!」
「えぇー?なになになに?華ちゃん、怖いの?渚みたい」

煽る舞奈にカチンときたのか、華ちゃんはスマホのライトを付け始めた。

「…行ってやろーじゃないの」
「ほんと?よっしゃ、行くぞー!」

舞奈と絵美子は先頭を切って歩き出した。
私と華ちゃんはと言うと、前の2人の服を掴みながら、縮んで歩いていた。



男子の部屋の前ら辺に来た時だった。

進行方向に白い影が見えた。
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