次の演奏は花山南高校吹奏楽部ですっ!〜部活大好き彼氏が甘すぎる〜
「…え?何あれ」

舞奈はスマホをそちらに向けた。

白い影に顔のようなものが見えた。

その顔は

ニタァと気味悪く笑った。


「出ぇぇぇぇぇぇたあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


廊下に叫び声が響いた。

舞奈と絵美子は踵を返すと、私と華ちゃんの間を抜けて逃げていく。

華ちゃんはその後を追いかけるように、立ち上がって逃げ出した。

私は、腰が抜けて動けなくなっていた。

(終わった…)

もうダメだ。

私は呪われて死ぬんだ。

まだコンクールも終わってないのに…。

「…柊…」

私は助けを求めるように呟いた。

すると、横から何かが現れて
私を引っ張った。

バタンッ

「…?」
「渚!大丈夫か?!」

柊だった。

そういえば、ここは男子部屋の前だった。
──助かった。

「うぇえ…」
「え?!なに?!どっか痛い?!」

ほっとして、柊の体が暖かくて
泣いてしまった。

「柊ぅ…、ありがとうぅ…」
「え?なに…?どうしたの?」
「…幽霊っ、見たかも…。殺されるかと思ったよぉぉ…」

よしよし、と頭を撫でてくれる柊にしがみついて、ぽろぽろと泣いていた。
柊は、泣き止むまで待っていてくれた。

「…ごめんね柊、もう大丈夫」
「涙止まった?」
「うん」

立ち上がろうとすると、柊はそれを止めるようにぎゅっと抱きしめた。

「?柊?どうしたの?」
「…そういえばって思って」
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