次の演奏は花山南高校吹奏楽部ですっ!〜部活大好き彼氏が甘すぎる〜
「へ?何が?」

尋ねると、柊は何も言わずに

私を抱きしめたまま

布団に寝転がった。

「え?え?!柊?!」
「しっ。他の人にバレちゃうよ?」

柊は少し起き上がって

私を押し倒す形になった。

「ちょ、柊…!」
「渚、そういえばさ」
「…な、なに…?」

柊はそっと私の耳元でこう言った。

「─キス、してないなって」
「!!!」

私はボッと音が出そうなくらい赤くなった。

「せっかく付き合ったんだからさ、そろそろ、我慢できない」
「そ、そんなこと言われても…」

柊はムッとする。

…だって、急に言われて「どうぞどうぞ」って言えるわけがない。

「…嫌?」

暗くてあまりよく見えないけど、この上目遣いには何も言えない。

「……っ」
「…目、瞑ってよ」
「ん…」

何も見えない。

柊の息遣いだけが聞こえてくる静かな部屋で

彼の唇が

私の唇に重なった。

1秒もない、とても短いキスだった。
でも、凄く優しい、満たされるようなキス。

「…渚?大丈夫?」
「柊、好き。」

完全に無意識だった。
口からスッと出てきた本心だった。

「っ!!!」

柊は顔を赤くして、耳元で言った。

「我慢出来なくなるんだから、やめてっ…」
「…?キス、したのに?」

私の腕を抑えている彼の手に、きゅっと力が入る。

「…違う、キスより…先」
「…え?」

いや、待て待て待て。
合宿中にそんなことしたら…!

「…渚…」

ストップストップ!!
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