次の演奏は花山南高校吹奏楽部ですっ!〜部活大好き彼氏が甘すぎる〜
|《食べちゃいたくなった》


入部して1週間、私たち新入部員は朝早く音楽室に呼び出された。

「わぁ…すごい、私たち以外にもこんなにいたんだ…」

舞奈の言葉に私は頷く。
1年生はざっと見ただけでも20人以上。でも、しっかり部活をしようと考えてる人は少ないんだろう。部活に入ったという事実だけを求めてきた人、派手な人もたくさんいた。

「はい!ちゅーもく!」

佐々木先輩が前に立つ。

「もう楽器決まったかな?とりあえず今は、この部について知ってもらいます!」

私は、ここで初めてなぜ吹奏楽部が落ちこぼれたのかを知った。

顧問の不祥事だったらしい。
くわしくは知らないけど、逮捕されたやらなんやら。そりゃ部員も減るだろう。
最終的に残ったのがこの4人の先輩だったという。

「1番初めの発表は駅前のコンサートです!…今年は出なくてもいいかなって思ってたけど、皆が入ってくれたから出ようと思います!」

佐々木先輩は嬉しそうに言った。

「コンサートに向けてまだ決まってない人の楽器を決めるから、決まってない人は残ってね!」

私たち決まっている部員は教室に向かった。その時、聞こえた。

「あの先輩、ほんとにウチらが部活来るとでも思ってんのかな?バカだねー!」

やっぱりそうだ。とりあえず入るってだけのヤツが何人もいる。
こんなヤツらと一緒に部活なんてしたくないと、拳を震わせていると

「?!?!」
「どうしたんだよ、そんな顔して」

誰かが私の頭をぽんぽんとした。
柊だった。
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