次の演奏は花山南高校吹奏楽部ですっ!〜部活大好き彼氏が甘すぎる〜
舞奈に背中を押され振り返ると

3人は握りこぶしを高く上げていた。

私も思いっきり上げた。


…よし、本番だ。


「入れちゃってくださーい」

私たちの番が来た。

セッティングは忠実に、そして素早く。
楽譜を開いて、前を見て待つ。

「プログラム3番、県立花山南高等学校、指揮、滝野 光」

先生が指揮台に立つ。

私たちはその時を待つ。

先生がすっと指揮棒を振った。
志乃先輩と金管が入る。

舞奈のSoloが聴こえる。

曲が
始まる。

この音量、この音色。

叩きながら、その舞台の響き方に合わせる。

ここの舞台は、管が響きやすい。
これにも合わせて音量を調節する。

自分だけが目立とうとしちゃダメだ。

しっかり、裏に入って支えなければ。

大丈夫、練習してきたんだから、みんながいるんだから。


マレットを変えるために小物台に向かうとお守りが目に入った。

──うん。大丈夫。


華ちゃんのSoloに入る。

いつも通り、綺麗な音色だった。


盛り上がり、沈んでいき

演奏は、静かに私のSoloに向かっていく。

優しく、でも響きを持って。

私はSoloを奏でる。

今までの練習を全て思い出して
感情を込めて。


直前に苦戦していた連符も問題なく終わり

気がつけば、演奏はクライマックスを迎えていた。

柊のティンパニのSoloが聴こえる。

力強い、でも優しく、ハッピーエンドに進むかのように。

そして、演奏が終わった。
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