次の演奏は花山南高校吹奏楽部ですっ!〜部活大好き彼氏が甘すぎる〜
目をきらきらさせて私を見上げる柊が、なんだか可愛くて

彼の頭に手を伸ばしていた。

「え?!渚?!」
「あ、ごめん、可愛くてつい…」

私はサッと手を離す。
柊は少し顔を赤くして唇をとがらせた。

「俺は、かっこいいって言ってほしいのに」
「?柊は十分かっこいいよ」
「そうじゃなくて!」

柊が何を求めているのかよく分からないけど、なんで皆が私を目の敵にしているのかは分かった。
柊と仲良くしているのが妬ましいんだ。

「ちょっと柊、距離が近い」
「なんだよ急に、いいじゃんか」
「もう…」

別に妬まれるのは慣れてるけれど、私は男の子とこんなに仲良くはしたことないから。
柊は皆にこの距離で接してたのかな、だから慣れてるのかな。
そう考えると、なんか胸がキュッとした。

「はい!駅前のコンサートの楽譜配るので、パートリーダー取りに来てくださーい!」

部長である志乃先輩の声で、柊はやっと離れてくれた。

「はい、これスコア」
「ありがとうございます」
「この楽譜、全部俺らがやるんですか?てか、この量エグくないですか?」

何も知らなそうな柊に、一旦一通り説明して、パート割に入った。

「じゃあ、私ドラムやります」
「わかった!じゃあ、多分柊くんが鍵盤と小物かな?」
「え?!それじゃ先輩何やるんすか?」
「私はティンパニかな」

かっけぇー…とずっと感激している柊に、心が和んだ。可愛い。弟みたいだ。
初心者とは言っても、鍵盤と小物なら簡単だ。私が教えてあげることにした。

「これがシの♭ね、1個上のこれ」
「なるほど!じゃあ、こうか!」
「そうそう!できるじゃん」
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