私の初恋の相手は狼でした。
約束の夜
チ、チ、チ、チ
部屋の時計の秒針だけが、部屋に響く。
あと。数秒で、22時。

窓は閉めたまま、ゆっくりと外を伺う。

目の前は、住宅街が広がっており、道も出歩いている人もいなくて静かだ。


すると突然、部屋の電気が落ちる。
目の前が真っ暗になる。

部屋だけではなく、ここ一体が停電したらしい。


「っ!停電!そうだ、携帯のライト!」

慌てて携帯を手に取った時、「約束通り来たぞ。森樹」

私の背後に立ち、手から携帯を簡単に奪う。

「本当に。。」

「本当だって、そう言ったろ。」

後に立つ体温を微かに感じた。嬉しさと驚きで言葉がでない。

「ちゃんと待っててくれたんだな。」

安心したような小さい声で、そう言った。


真っ暗な部屋で、ゆっくりとキデスの姿を確認しようと振り向こうとした。

その時、チカチカと部屋の電気が点滅した。

「ここには、長くいられないな。出るぞ。」
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