いつかこの涙が愛に変わるときに、愛を叫べ
吐き出した息が白く染まり
ますます寒さを感じる冬の日の夜3時
ここは巷でも人通りの少ない裏通り
そして裏組織の人間の統治下
となっているこの通り
そこには、絶望する男の姿があった
[お、俺は、、やってない!あいつだよ、、、]
そうだ、あいつがやったんダァァォああ!!!
そう叫びまくる男は前方から迫る黒い影に怯えながら一歩、二歩と後ずさった。
叫びまくる男の視線の先には黒い影の正体である黒ずくめの男がいた。
暗闇に紛れながらも、圧倒的な存在感を放ち、叫びまくる男を追い詰めている張本人は、夜に紛れ表情を隠し、時折深く被ったフードから顔を出すピアスが月に照らされていた。
[俺を殺す前に、あいつを殺せ!!]
声が枯れそうになるくらい必死に叫び、せめてもの抵抗として、道路の端にでも落ちていたのか鉄の棒を無造作に振りましはじめた。
しかし前方に迫り来る影は大きくなるばかりで、距離は詰められる一方だ。
[お、おい!!!それ以上、、、近づくな!]
叫びまくる男に遂に痺れを切らしたのか黒ずくめの男はようやく口を開いた。
〈JOKER〉
その言葉は決して大きな声で言ったわけでもないのに、あたり一面に深く重く響いた
黒ずくめの男が言った言葉に叫びまくる男は言葉を失い、途端に震え出した。
[じょ、ジョーカーだと、、]
先程の様子とは違い、相手の発した言葉に驚き手にしていた鉄の棒が手から離れた
黒ずくめの男はそれ以上何も言うこともなく、その日の夜は更けていった
顔を真っ青に変え、恐怖に陥った男の行方は誰も知るものはいなかった
この世界が指すJOKERとは一体。
震え上がる男と
言葉を発しなかった黒ずくめの男
後にこのJOKERが大きな鍵を握ることとなる。