prologue
「あの!またきてもいいですか?」
「はい、もちろん。お待ちしてます。」
彼の笑顔に、私も彼の目を見て笑う。
私は一度、頭を下げて店をでた。
「おかあさん、お待たせ。」
「あら、そのお花どうしたの。」
「店員さんからいただいたの。」
駅へ歩みを進める。
もしかしたら、これはエピローグじゃないかもしれない。
「ねえ、おかあさん。赤いアネモネの花言葉知ってる?」
「確か、君を愛す、じゃなかったっけ?」
その言葉に顔が熱くなるのを感じた。
これは、エピローグじゃない。
プロローグだ。
顔の熱を紛らわすために口をつけたフラッペは、
春の味がした。