あやかしの集う夢の中で
(何なの、この強烈な吹雪は……。

これじゃ前が少しも見えない……)



愛理の周囲を包み込んだ吹雪は愛理の視界を奪い、愛理の体温を奪っていった。



そして敵が見えない最悪の状況の中で雪菜の笑い声だけが響いていた。



「フフフッ……。

フフフッ……。

フフフッ……」



愛理は追い詰められたこの状況の中で、恐怖ではなく強い怒りを感じていた。



(その余裕の笑いは何なの?

気に入らない……。

本当に気に入らない!)



愛理は負けず嫌いな性格で、人に負けた経験もあまりない。



そんな愛理は自分が格下に見られていることが許せなかった。



どうにかして最高の電撃をあの雪女にくらわせてやる!



愛理が決意を固めてそう思っているとき、五体に分かれた雪菜がようやく愛理の前に姿を現した。
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