あやかしの集う夢の中で
「あら、残念。

貴様も凍えて死んじゃいな」



本物の雪菜は愛理の後ろから愛理に襲いかかり、愛理の背中にしがみついていた。



愛理の背中には雪菜の体のひんやりとした感触があって、愛理は背中にしがみついている雪菜にゾッとしていた。



(この状態で体に冷気を送り込まれたら、私も桜介みたいに……)



愛理の頭の中にハッキリと死がよぎっていた。



舞の夢を救えず、道半ばで夢妖怪に倒される自分。



そんな最悪のイメージが愛理を恐怖で包んでいた。



「さぁ、小娘。

凍えて死にな!」



雪菜がそう言って愛理に冷気を送り込もうとしたその瞬間、小さな炎の塊が雪菜の背中へと飛んできて、雪菜の背中に直撃した。



不意をつかれた雪菜はその攻撃に悶絶し、愛理から手を放した。



(炎の塊が雪菜の背中に飛んできた……。

桜介が私を助けてくれた。

桜介の意識が戻ったんだ!)



愛理は瞬間的にさっきの炎の技が桜介の技だと理解していた。



そして愛理は自分を助けてくれた桜介の気持ちに応えるために、全力で身体中から電撃を放っていた。



「これでもくらえ!

サンダーボルト!」



愛理は雪菜の手を握りしめ、自分の手から雪菜の手へと電撃を流し込んだ。



すると雪菜は悶えながら悲鳴を上げ、黒焦げになって倒れ込んだ。



愛理は強敵、雪菜をようやく倒したことにホッとすると、次の瞬間、桜介のことが頭に浮かび、桜介が倒れている方へと慌てて目を向けていた。
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