あやかしの集う夢の中で

(よし、倒した！)



愛理が夢妖怪を倒したよろこびの中で、桜介の方に目を向けると、青色の夢妖怪は炎に包まれ、大地にバタリと倒れていた。



桜介が巨体の夢妖怪を倒したことを知った愛理は、さっきまで死にそうだった桜介が見事に復活していることをよろこんでいた。



愛理は笑顔を浮かべて桜介の元に駆け寄り、桜介に弾むような声で話しかけていた。



「やるじゃん、桜介！

もうダメかと思ってたんだよ！」



「オレがダメってどういうことだよ。

オレは夢の中では最強だぜ」



「何言ってるの？

桜介はさっきまで、凍えて死にそうになってたんだからね！」



「そうなの？

オレは寝ていたから、あんまり記憶が……」



「のんきだね、桜介は！」



愛理はそう言うと涙がこぼれ落ちそうになって、桜介に背を向けた。



「私はすごく心配したんだよ。

もしも桜介が死んじゃったらどうしようって……。

もう二度と桜介と話ができなくなったらどうしようって……」



愛理が自分の心の奥の方にあった感情を口にすると、愛理は泣きたくないのに、どうしても涙が止まらなかった。



自分にとって一番大切な人が誰なのか。



愛理はそのことに本当は気づいていた。