あやかしの集う夢の中で
「そうだよ、カノンちゃん。

カノンちゃんが持っている癒しの力は、私の知ってる誰にも負けない。

だからきっと大丈夫。

カノンちゃんは時宗君のケガを治せるよ」



「カノンちゃん、オレも愛理と同じことを思っているよ。

カノンちゃんの癒しは一ノ瀬中で一番だから。

いや、きっとこの日本でカノンちゃんの癒しが一番だとオレは思う」



桜介がそう言うと、カノンは自信なさげに桜介を見つめ、桜介のとなりにいた愛理は桜介を横目で見ながら不機嫌になっていた。



そして二人の会話を聞いていた時宗がまた真剣な声でカノンに話しかけていた。



「オレも綾瀬の技でオレのケガを治せると思う。

だから綾瀬は自分を信じろ。

自分を信じきれれば、綾瀬の力は強くなる」



時宗にそう言われて、カノンは小さくうなずいた。



そしてカノンは時宗のケガを癒すことを決意し、意識のすべてを時宗のケガに集中させていた。



「カノンは全力を尽くします。

癒しの力よ、我に宿れ!

カノン特性、癒しビーム!」



カノンがそう言って両手を時宗の傷口にかざすと、カノンの両手からピンク色のオーラが出てきて、時宗のケガを癒し始めた。
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