あやかしの集う夢の中で
「マジかよ。

こんな攻撃反則だろ!」



黒いドラゴンは桜介をターゲットに定め、ものすごい勢いで桜介の方へ迫っていた。



牙をむき出しにした巨大な黒いドラゴンの顔が自分に迫ってくる光景は、絶望を感じさせる恐怖の塊だ。



あのドラゴンの牙で体を思いっきり噛まれたら、生きていられるとは思えない。



今まで敵に対して強気だった桜介もその巨大な黒いドラゴンに怯え、逃げることだけを考えていた。



(ふざけるなよ。

こんなに強そうな相手とどうやって戦うんだ?

オレの実力はこんな規格外の敵には通用しないぞ。

いったいどうすればいいんだよ)



桜介は巨大な黒いドラゴンに対して攻撃体勢を解いていた。



今の自分にできることはこの強敵から逃げることだ。



桜介はそう決め込んで、巨大な黒いドラゴンに背を向けて逃げ出していた。



それでも巨大な黒いドラゴンは執拗に桜介を追いかけてくる。



桜介は絶体絶命の状況の中で反撃する意欲もないままに、ひたすらに敵から逃げ回った。
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