あやかしの集う夢の中で
(敵が初めて私の方に目を向けた……。

私を敵と認識したんだ。

だとしたら、次のターゲットは私なの？)



愛理の一撃は敵に強烈なダメージを与えたが、トドメを刺すことはできなかった。



そして手負いの敵が愛理に殺意を向けたとき、愛理はその殺意の強烈さに恐怖して怯えていた。



自分が本気で敵に立ち向かっても勝てない予感が全身を包み込んでいる。



愛理の体が死への恐怖で震え出したとき、牙をむき出しにした巨大な黒いドラゴンは愛理へと襲いかかった。



(ウソ……。

これが私の最後なの？

だとしたら本当に呆気ないよ。

私にだってやりたいことがたくさんあるのに……。

私はまだ大好きなあいつに自分の気持ちを伝えてないのに……)



迫りくる敵を目の前にして、愛理が呼吸すらもできなくなっていたそのときに、まるで突き抜ける風のように、小柄な人影が愛理の前に現れた。



そしてその人影は敵に臆することもなく全力で自分の技を放っていた。
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