あやかしの集う夢の中で
「こんなちんけな技で我を倒せると思っているならこざかしい。

低級の夢妖怪ならいざ知らず、我は夢妖怪の王じゃぞ。

こんな技など吹き飛ばしてくれるわ」



あやかし王はそう言って、右手に溜めた暗黒のオーラを電撃の槍が降り注ぐ空へと解き放った。



すると、あやかし王の頭上に闇が広がり、電撃の槍はその闇の中にすべて吸い込まれていった。



あやかし王は得意気な顔で暗闇の空を見上げていたが、桜介はあやかし王が見せたその一瞬の隙を見逃さなかった。



桜介はあやかし王に気づかれないように右手に溜めた炎のオーラを、無言のまま、あやかし王に解き放った。



(実力に差があるあやかし王を倒すには奇襲しかない。

直撃しろ、オレの炎。

あやかし王を燃やし尽くせ!)



桜介と愛理の願いを込めた巨大な炎は空を見上げているあやかし王へと一直線に向かっていた。



あやかし王は桜介が放った炎の技の熱と明かりに気づいて、ようやく巨大な炎に目を向けたが、目前まで迫っている巨大な炎をかわすことはできない。



桜介は奇襲成功を確信して拳をにぎりしめると、勝利を願って大きな声で叫んでいた。



「いけ、スーパー大炎上!

あやかし王を燃やし尽くせ!」



さっきまで余裕の表情を見せていたあやかし王の表情が焦りと驚きで固まっていた。



そして桜介の解き放った巨大な炎は小柄なあやかし王を包み込み、あやかし王の姿が紅蓮の炎の中に消えていった。



桜介はその瞬間に勝利を確信して、愛理の方を振り返り、愛理に向かって叫んでいた。



「やったぜ、愛理!

ついに敵のボスを倒したぜ。

これで舞ちゃんの夢は救われる。

オレたちは夢妖怪を倒したんだ!」
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