あやかしの集う夢の中で
あやかし王を包み込んだ炎が明るく辺りを照らしていた。
そして今から舞の夢の中の世界を包み込んでいる闇が消え、辺りは夢と希望に包まれた光が溢れるはずだった。
それなのに、空を覆っている闇はなかなか消えず、舞の大切な夢だけが明るく煌々と光っていた。
あやかし王を倒したはずなのに何かがおかしいと、桜介の第六感が警鐘を鳴らしていた。
自分たちは大切なことを何か見落としているんじゃないだろうか?
そんな不安が桜介の胸の中に広がり始めたとき、愛理が燃え盛る炎を指差して、桜介に叫んでいた。
「大変だよ、桜介!
炎の中から巨大な夢妖怪が顔を出してる!
あやかし王は死んでないよ。
きっとあれがあやかし王の本当の姿だよ!」
桜介は愛理の声を聞いて、反射的に愛理が指差す方向に目を向けていた。
するとそこには十メートル級の夢妖怪に姿を変えたあやかし王が、炎の中から残虐そうな顔を出して、桜介たちをにらんでいた。