あやかしの集う夢の中で
(時宗のヤツ、イケメンのくせに勉強もできるって、どれだけハイスペックなキャラなんだよ。

あんなに完璧な男子が同じ教室にいるってあり得ないだろ。

でも、時宗だけには負けたくないぜ)



桜介はいい加減でだらしない男なのに、どういうわけか時宗だけにはライバル心を抱いていた。



でも、時宗の方はそんな桜介の気持ちに少しも気づかず、桜介を意識していなかった。



「時宗君って、すごいですね。

あんなにスラスラと数学の問題を解いちゃうなんて。

カノンも時宗君はカッコいいと思います!」



カノンが笑いながら桜介に言ったその言葉が、桜介の胸をえぐるように深く突き刺さった。



(オカルト部、癒し系担当のカノンちゃんの心まで、時宗は簡単に持っていくつもりかよ。

ぐぬぬっ、許せん。

時宗だけには絶対に負けたくねぇ)



桜介が時宗にライバル心を抱いているとクラスメイトたちが知ったなら、クラスメイトたちはきっと桜介を笑うだろう。



ルックス、学力、人気、すべてにおいて桜介と時宗のレベルが違っていた。



桜介はそれを本当に実感していたからこそ、時宗のすごさに悔しさが募っていた。
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