あやかしの集う夢の中で
「我に逆らう人間の魂どもよ。

我の真の姿を見せてくれよう。

お前らは自分の無力さを思い知って死んでいけ!」



あやかし王はそう言うと、右手の拳を振りかざして、その拳を桜介へと振り下ろした。



まるで巨大な岩のようなあやかし王の硬い拳が桜介に迫り、桜介の視界を塞いでいく。



不意をつかれた桜介は、その拳をかわすことができなくて、防御の姿勢を作り、その拳から命を守ろうと身構えた。



でも、桜介を正面からとらえたあやかし王の拳は、桜介の体をガードの上から吹き飛ばした。



巨大な拳の一撃をくらった桜介の体はまるでピンポン玉のように飛んでいき、硬い地面の上で弾んでいた。



「ぐはっ……」



あやかし王の強烈な一撃をくらった桜介は口から血を吐き、呼吸すらもまともにできなくなっていた。



そして襲いくる激痛の中で、桜介は体を動かそうとしていたが、自分の体が動かない、



もしも本当に自分の体が動かないとしたら、その時点で勝敗は決している。



自分はあやかし王に負けたのだ。



桜介はそんなことを思いながら、闇に包まれている空を見上げた。



そしてその暗い空でまだ明るい光を放っている舞の大切な夢を見つめていた。
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