あやかしの集う夢の中で

(舞ちゃん……。

オレの力は足りなかったよ。

オレはどうしても舞ちゃんのキラキラ輝いている夢を守ってあげたかったんだけどなぁ。

自分の力不足が悔しいよ。

もしも暗い空で輝いている舞ちゃんの夢が守れていたら、舞ちゃんはピアニストになる夢を叶えられたのかなぁ……。

ごめんね、舞ちゃん。

オレは舞ちゃんの夢を守れない。

オレには力が足りないから……)



「桜介、立って！

あやかし王が来るよ！」



愛理が桜介を心配して叫ぶ声を聞いても、桜介はもう立てなかった。



自分の魂がこの夢世界で消え去ったとき、自分はもうリアルな世界で目を覚ますことはないんだなぁと、桜介はぼんやりと思い、あきらめていた。



思いが強ければ、この夢の中の世界では何でもできると思っていた。



でも、その考えは間違いだった。



自分の能力には限界がある。



桜介はそれを思い知った。



「桜介、立って！」



愛理の叫び声が最後に聞く愛理の声になるだろう。



自分はもう戦えない。



だってもう立ち上がることさえできないのだから……。