あやかしの集う夢の中で
「桜介って、本当に素直じゃないよね。

時宗君、桜介なんて気にしないで一緒に紅茶を飲もうよ」



「愛理、そんな言い方ないだろ」



「素直じゃない桜介が悪いんだよ。

時宗君は仲間なの!」



「それはオレもさ、時宗が仲間だと思うけど……」



「カノンはわかりますよ。

時宗君は桜介君のライバルなんですよね。

絶対に負けたくないんですよね」



カノンがそう言った後、少しだけ部室内が静まり返り、少しの間を置いて、愛理が最初に口を開いた。



「時宗君と桜介がライバルなの?

ねぇ、桜介。

冗談でしょ?」



「笑いたければ笑えよ。

だけどオレは本気だからな」



桜介がそう言うと、時宗が桜介のとなりの席に座ってこう言った。



「春野がそう言うのなら、オレたちはライバルだ。

そういう関係も悪くない」



「もうわかったよ。

それじゃ、今日から桜介と時宗君はオカルト部の公認ライバルに認定します!」



愛理のその言葉で桜介と時宗のライバル騒動は収まった。



オカルト部のメンバーたちは男子二人の小さな争いを笑いながら楽しんでいた。
< 170 / 171 >

この作品をシェア

pagetop