あやかしの集う夢の中で
「まずは如月舞に直接会ってみることだ。

そうすれば、如月舞が夢妖怪に取り憑かれているかを判断できる。

それで、もし本当に如月舞が夢妖怪に取り憑かれていたとしたら……」



時宗はそう言うと、オカルト部員、全員の顔を見回し、決意のこもった声でこう言った。



「オレが如月舞の夢に潜入して、夢妖怪を退治する」



一ノ瀬中学で一番クールで、一番のイケメンが、まるでアニメの主人公のようなセリフ言っていた。



もしもこのセリフを桜介が言ったのなら誰も信用しないかもしれないけど、そのセリフを口にしたのは、あのハイスペックなイケメン、風間時宗だ。



オカルト部員のメンバーはそのことを重要視して、時宗の言葉を信じていた。



「なぁ、時宗」



桜介がいつもライバル視している時宗に話しかけた。



「もしも舞ちゃんが夢妖怪に取り憑かれていたとしたら、オレも舞ちゃんの夢の中に入って、夢妖怪退治に参加できないのか?

舞ちゃんはオレたちオカルト部の仲間なんだ。

オレは舞ちゃんを助けたいんだ」



「春野が如月舞を……」



時宗は桜介に目を向けるとつぶやくようにそう言った。



時宗はクールなキャラで感情をあまり表には出さない。



そして人間関係も希薄で集団行動を好まないタイプでもあった。



誰でも話しやすい桜介を『春野』と名字で呼ぶのも時宗と先生くらいだ。



そんな時宗が桜介の提案を受け入れるのか?



オカルト部員のメンバーは時宗の次の言葉を待っていた。
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