あやかしの集う夢の中で
「春野が夢妖怪と戦うリスクを理解した上で、それでも如月舞の夢の中に入りたいというのなら、オレはそれでも構わない。

ただあとで後悔するなよ。

オレは責任を一斉取らない」



「このオレが後悔なんてするかよ!」



いつもは省エネ主義で熱くならない桜介が、むきになって話していた。



「オレが後悔するとしたら、舞ちゃんを助けにいかないで何もしなかったときだけだ。

オレは舞ちゃんとまた一緒に、このオカルト部の部室で紅茶を飲みながら話したいんだ!」



桜介が舞を助けたい理由に少し不純な気持ちが混じっていることを愛理は感じていたが、とりあえずそのことはスルーして、時宗にこう言った。



「桜介が舞ちゃんの夢の中に行くなら、私も行くよ。

舞ちゃんは私たちの大切な仲間だから」



「あっ。

カノンも行きますよ。

舞ちゃんはカノンの大切な友達です!」



オカルト部員の意見が出揃ったとき、時宗はやれやれと思いながら、窓の外の空を見ていた。



オカルト部員のメンバーたちは夢妖怪の本当の怖さを知らない。



本来なら、如月舞の夢の世界へは行ってはいけない人たちだ。



でも、オカルト部のメンバーたちの如月舞を思う気持ちは本物だと時宗は感じていた。



友達を思う彼らの気持ちは強い。



友達を持たない主義の時宗にはオカルト部のメンバーたちの気持ちが新鮮だった。
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