あやかしの集う夢の中で
「あのう、舞ちゃんのお母さん。

私たち、舞ちゃんに会いたいんですけどいいですか?」



「もちろん、大丈夫ですよ」



舞の母は優しい声でそう言った。



「きっと舞もよろこびます。

最近の舞は本当に元気がないから……」



「舞ちゃんは元気ないんですか?」



カノンは心配そうな顔をして、舞の母に話しかけた。



「ええ。

何でも悪い夢を見るらしくて、よく眠れないみたい。

それに最近、笑わなくなって、本当に心配しているの」



「もしかして、夢妖怪が……」



桜介が舞の母に夢妖怪の話をしようとしたとき、愛理の右手がスッと伸びてきて、桜介のほっぺをつねっていた。



「イテテテッ。

何すんだよ、愛理!」



舞の母は二人の様子をちょっと驚きながら見ていたが、愛理はそれを取り繕うように作り笑いを浮かべてこう言った。



「桜介はちょっと変わっていて、少し妄想癖があるんです。

それにマンガの見すぎで、現実と妄想の区別がつかないときがありまして……」



舞の母は愛理の話を不思議そうな顔をして聞いていたが、また優しそうな笑顔を浮かべると、桜介たちにこう言った。



「それじゃ、皆さんを舞の部屋に案内しますね。

最近の舞は元気がないから楽しい話をしてあげて下さい」
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