あやかしの集う夢の中で
桜介たちは玄関で靴を脱ぎ、舞の母の後ろをついて、長い廊下を歩いていた。



舞は元気がないと舞の母が言っていたけど、本当のところはどうだろう？



桜介の頭の中に学校を休む直前の元気がなかった舞の顔とそれよりも前の部室でいつも笑っていた舞の顔が交互に浮かんだ。



自分たちの仲間である舞が今も暗い顔で落ち込んでいるとしたら、どうにかして明るい笑顔を取り戻してあげたい。



またオカルト部の部室でみんなと仲良く紅茶を飲みながら話したいから。



そのためには、舞の夢に住み着いている妖怪たちを……。



桜介がそんなことを考えているうちに、桜介たちは舞の部屋の前に案内されて、舞の母は舞の部屋のドアをノックした。



「舞、お友達がお見舞いに来たの。

開けてもいいかしら？」



舞の母が舞に声をかけてから少しだけ間があって、部屋の中から舞の声が聞こえてきた。



「うん、大丈夫だよ、お母さん。

ドアの鍵は開いているから」



ちょっと弱々しくて、元気がなさそうな舞の声に桜介の心が少し痛んだ。



やっぱりいつもの舞いとは少し違う。



桜介はそのちょっとした舞の声の違いをハッキリと心の中で感じていた。
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