あやかしの集う夢の中で
舞の母が部屋のドアをゆっくりと開けて、まだ見たことのない舞の部屋が見えてきた。



舞の部屋は白色の物で統一されていて、その白色が舞の清潔感とマッチしていて心地良かった。



そして12畳ほどもありそうな舞の部屋には、いろんなところにかわいらしいぬいぐるみが置いてあって、独特な癒しの空間を作っていた。



(清潔感があって、シンプルで、品があるこの空間って、いかにも舞ちゃんの部屋って感じだ。

女の子の部屋って、きれいでいい匂いがするんだなぁ。

それとも舞ちゃんは特別なお嬢様だから、クラスの他の女の子とは違うのかなぁ)



桜介は舞の部屋に好印象を持ちながら、いろいろなことを考えていた。



そんなとき、桜介の視界に白いパジャマを着たちょっと元気のなさそうな舞の姿が入り込んだ。



そこにいる舞は明るくて品のある笑顔を見せていたいつもの舞とは違っていた。



桜介はそのことに胸が苦しくなりながら、舞が元に戻れるように頑張らなくてはと心に誓った。



「それじゃ、舞のクラスメイトの皆さん、のんびりしていって下さいね。

舞も皆さんと話をしたら、きっと元気になれると思うから」



舞の母にそう言われて、桜介たちは舞の部屋に入っていき、それを見届けた舞の母は部屋から離れた。



桜介たちは久しぶりに会う大切な仲間を前にすると、うれしそうな笑顔を浮かべて、舞に話しかけていた。
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