あやかしの集う夢の中で
「舞ちゃん、大丈夫?

舞ちゃんがずっと学校を休んでたからすごく心配したんだよ」



「カノンもすごく心配してました。

舞ちゃんが学校に来ないとさみしいです」



「もちろん、オレも心配してたよ。

舞ちゃんがいないオカルト部はさみしいよ」



「みんな、心配かけてごめんね」



オカルト部のみんなが舞に話しかけると、舞は弱々しい声でそう言った。



「早く元気にならなくちゃって思っているんだけど、どうしても元気がでなくて……。

今でも毎日、怖い夢を見るの。

でも、どうして毎日、こんなに嫌な夢を見るんだろう?

その夢のせいで、何だか気持ちが憂うつになって……」



そう言って元気なく下を向いた舞は、まるで水を与えられなくて萎んでしまった薔薇みたいだ。



あんなにキラキラ輝いていた舞なのに、元気がないとそのキラキラがくすんでしまう。



桜介はそんな舞にどうしても元気になって欲しかった。



「あのう、舞ちゃんにこれを持ってきました」



カノンはそう言って手にしていたカバンを開けると、そこから箱入りのチョコレートを取り出した。



「今日のオカルト部のおやつです。

カノンはお口の恋人ロッチが大好きです!」



そう言ってカノンが舞にチョコレートを手渡すと、舞はうれしそうにニコリと笑った。



「ありがとう、カノンちゃん。

あとでゆっくりいただくね」
< 46 / 171 >

この作品をシェア

pagetop