あやかしの集う夢の中で
「カノンちゃん、それってさ……、催眠術?」



愛理がちょっと苦笑いでカノンに話しかけると、カノンは満面の笑みを浮かべてこう言った。



「そうですよ、愛理ちゃん。

これでカノンは舞ちゃんを眠らせます」



「ありがとうカノンちゃん。

それじゃ、私にその催眠術をかけてみて」



舞はそう言ってカノンに微笑みかけた。



「わかりました!

それじゃ、今からカノンが舞ちゃんを眠らせますね」



そう言うとカノンは舞の目の前で五円玉を左右に振り、催眠術の言葉をかけた。



「舞ちゃんはだんだん眠くなる……。

舞ちゃんはだんだん眠くなる……。

舞ちゃんはだんだん眠くなる……」



桜介はカノンの催眠術に少しも期待していなかったが、カノンと舞は真剣に催眠術に取り組んでいた。



そして五分後、舞は大きなあくびをして、つぶやくようにこう言った。



「本当に眠たくなってきたかも……。

ごめん、みんな……。

私、寝るね」



舞はそう言うと、ベッドの中で横になり、静かに寝息を立て始めた。
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