あやかしの集う夢の中で
「じゃーん。

みんな見て。

今日のお菓子はクッキーでーす」



桜介はそう言って、棚に置いてあったクッキーの箱を部室の真ん中にある机の上で開けた。



そしてそのクッキーを真っ白な小さい皿の上に山盛りに出してみせた。



「さぁ、みんな食べようぜ。

オカルト部の活動はお菓子と紅茶で始まる。

それが決まりだからな」



「わぁ、桜介君、今日のお菓子も美味しそうですね」



「だろ。

この山盛りのクッキーを見てると幸せな気持ちになれるってもんだぜ」



「子供じゃないんだからさぁ、こんなに山盛りにする必要はないでしょ。

二回に分けて出せばいいのに」



「細かいこと言うなよ、愛理。

今から紅茶も出すからさ」



そう言って無邪気な顔で笑う桜介を見ていると、愛理の心は和んでしまう。



それはきっと他のメンバーも一緒だと愛理は思った。



桜介はいい加減で頼りないけど、誰よりも優しい人だから。
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