あやかしの集う夢の中で
愛理は今までにないような早口でカノンに自分の気持ちを告げていた。



そして愛理はカノンの言葉に必要以上に動揺している自分に戸惑っていた。



「おい、愛理。

そこまでオレを悪く言わなくてもいいだろ」



桜介がちょっと拗ねた態度で愛理に言った。



すると愛理は桜介と目を合わせずに桜介に話しかけた。



「だって仕方ないでしょ。

全部、本当のことなんだから。

私が桜介を好きだと思われたら、私だって迷惑なんだからね」



そう言った愛理に桜介は、「かわいくねぇの」と心の中でつぶやいた。



桜介は自分で自分のことを平凡でモテない男だと知っていた。



でもそれをわざわざ言葉にして言わなくてもいいだろ?



そんな拗ねた気持ちが桜介の心の中に広がっていた。
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