あやかしの集う夢の中で
「カノンの属性は癒しなんですね。
癒しの属性って、何だかカッコいいです。
カノンは癒しの技で頑張ります!」
桜介は自分の属性を聞いて楽しそうに笑っているカノンを見て、かわいいと素直に思った。
それに夢の世界に来たカノンは癒しだけでなく、セクシーさを手に入れていた。
そんなカノンに桜介は「カノンちゃん、最強かよ」と思っていたが、その瞬間に愛理の冷たい視線を感じ、慌てて時宗に話しかけていた。
「ああ、そうだ時宗。
あのさ、オレの赤色の髪の属性って何?
やっぱり炎だったりするのかな?」
「その通りだ。
春野桜介、お前の属性は……」
時宗が桜介の属性について話をしようとしたとき、「ゴゴゴゴー」という地鳴りのような音が聞こえてきて、大地が大きく揺れ始めた。
桜介たちはそんな予期せぬ出来事に慌てていたが、時宗は少しも取り乱さずに、冷静な声でこう言った。
「あれを見ろ。
あれが如月舞の夢に住み着いているヤツらだ」
桜介が時宗の指差したところに目を向けると、目の前にある薄暗い大地が広範囲で波打っていた。
桜介は大地が波打っている理由がわからずにぼんやりとつぶやいていた。
「広い大地が波打っている……。
でも、どうしてこんなことが……」
桜介のピントがハズレた言葉に時宗がすぐに言葉を重ねた。
「もっとよく見ろ。
波打っているのは大地じゃない。
大量の夢妖怪だ!」