あやかしの集う夢の中で
「やりましたね、桜介君。

これで敵は全滅ですよ」



「桜介もやるときはやるのね。

ちょっとだけ見直した」



「当たり前だろ。

これで舞ちゃんに取り憑いていた夢妖怪もいなくなって、また舞ちゃんの明るい笑顔が見れるってわけだ。

今日のオレは頑張ったな」



桜介が満足気にそう言ったとき、時宗は桜介に冷たい目を向けこう言った。



「勘違いするな。

まだ夢妖怪は全滅していない」



「何言ってんだよ。

夢妖怪たちはもうどこにもいねぇだろ?

全部倒したじゃねぇかよ!」



「あの微かな明かりがある方を見てみろ」



時宗にそう言われ、桜介は時宗が指を指した先にある微かな明かりに目を向けた。



「あそこが如月舞の大切な夢がある場所だ。

そしてあそこに夢妖怪のボスがいる。

そいつを倒すまで如月舞は救えない」



「ウソだろ……。

あんな遠い場所にボスがいるなんてよ」



「ウソをついてどうする。

今、オレたちが倒したのは、夢妖怪の下っ端たちだ」



時宗が言った衝撃の事実に桜介は力が抜けた。



あんなにカッコよく活躍したのに、下っ端を倒しただけだったのかと。
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