あやかしの集う夢の中で
その後、オカルト部のメンバーたちがお菓子を食べながらいつものように雑談をしていると、舞は元気を取り戻し、楽しそうに笑っていた。



生粋のお嬢様でピアニストを目指している舞は、本来ならばオカルト部に顔出すようなキャラじゃないかもしれない。



でも舞はオカルト部のこのアットホームな雰囲気が大好きで、時間に余裕があるときはオカルト部の部室に顔を出す。



舞だけじゃなくて、オカルト部のメンバーたちはみんな、大切な友達が集まるこの場所が好きなのだ。



桜介はオカルト部の部長として、この幸せが包み込む空間を大切にしようと思っていた。



それは自分のために。

そして、みんなのために。



「それじゃ、私はそろそろ吹奏楽部の練習に行かなくちゃ。

もっとここにいたいけど、みんなが私を待っているから」



そう言って笑いながら立ち上がった舞には、清潔感と気品があると桜介は思った。



それはいい加減で大雑把な桜介からすると、まばゆいばかりの憧れの対象だ。



平凡を絵に描いたような男子、桜介の目には、如月舞の存在が別次元にいるきらびやかな人に見えていた。
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