あやかしの集う夢の中で
「あっ、見て桜介。
あそこの木の影に夢妖怪がいるよ」
最初、細かった道は、今では少しも細さを感じさせなくなり、辺りに木々も見え始めていた。
そしてまばらに生えている木の影に真っ白な着物を着た女の夢妖怪が立っていた。
その女の夢妖怪は色白で髪の色が薄い紫色で、よく見ると、目を見張るような美女であった。
桜介は女の夢妖怪の美女ぶりに気づくと、三十メートルほど離れた距離からその女の夢妖怪を見つめ、つぶやいていた。
「ウソだろ……。
夢妖怪のくせにめっちゃ美人だ……」
桜介のそんなつぶやきを聞いてしまった愛理は反射的に眉を吊り上げて、桜介のほっぺをつねっていた。
「ちょっと桜介、夢妖怪を見て美人だとか何とかって、絶対に頭がおかしいよね。
私たちは舞ちゃんの夢を救うためにここに来てるんだよ。
そのことちゃんとわかってるよね」
「ごめんなさい、愛理しゃん。
反省しているからその手を放して……」
桜介がちょっと涙目になってそう言うと、愛理はまだ不機嫌なまま、ようやく桜介のほっぺを放した。
桜介は相変わらず怒りっぽい愛理を警戒しながら、痛むほっぺを擦っていた。
あそこの木の影に夢妖怪がいるよ」
最初、細かった道は、今では少しも細さを感じさせなくなり、辺りに木々も見え始めていた。
そしてまばらに生えている木の影に真っ白な着物を着た女の夢妖怪が立っていた。
その女の夢妖怪は色白で髪の色が薄い紫色で、よく見ると、目を見張るような美女であった。
桜介は女の夢妖怪の美女ぶりに気づくと、三十メートルほど離れた距離からその女の夢妖怪を見つめ、つぶやいていた。
「ウソだろ……。
夢妖怪のくせにめっちゃ美人だ……」
桜介のそんなつぶやきを聞いてしまった愛理は反射的に眉を吊り上げて、桜介のほっぺをつねっていた。
「ちょっと桜介、夢妖怪を見て美人だとか何とかって、絶対に頭がおかしいよね。
私たちは舞ちゃんの夢を救うためにここに来てるんだよ。
そのことちゃんとわかってるよね」
「ごめんなさい、愛理しゃん。
反省しているからその手を放して……」
桜介がちょっと涙目になってそう言うと、愛理はまだ不機嫌なまま、ようやく桜介のほっぺを放した。
桜介は相変わらず怒りっぽい愛理を警戒しながら、痛むほっぺを擦っていた。