青は奇跡
……帰ろう。
わたしの横を通り過ぎていく人は、みんな、あまりに眩しすぎて直視出来ない。
あんなにきらきらした境内に入っても、場違いもいいところだ。
それなのに、どうしてわたしは入ってしまったのだろう。
まるで、強力な何かに引っ張られるように、神社に向かって歩いていた。
陽が落ちるまでまだまだ時間があるからか全てが光をまとって輝いている。
まだ灯りのともっていない提灯、色とりどりの浴衣、ほおづきの朱、ヨーヨー風船、ラッピングされたカラフルな綿あめ、硝子玉の全てがきらきらしている。
見たいわけでもないのに、どうしてか見入ってしまう。
教室の中では決してたどり着くことの出来ない、きらきらがここでは少し手を伸ばせば手に入る。
気づけば、わたしは硝子玉に触れようとしていた。