青は奇跡
夏川くんの指さす方を見ると、小さな林檎が赤い飴で包まれた、りんご飴が並んでいる。
よく見ると、奥には大きなりんご飴。
「今日の分は、お礼ってことだから、全部俺に払わせて」
「でも、悪いよ」
「俺の補習の時間に比べたら安いもんだろ」
「……そう、だけど」
さっきからお金を払ってもらってばかりで申し訳ない。
わたしの勉強が、そんなに夏川くんの役に立ったのだろうか。
これほど頑なにお金を払うと言ってくれるのには、何か理由があるのかもしれない。
「こんなの大したことじゃない」
「……分かった。ありがとう」
「ん」
あ、また笑った。
学校外では結構笑ってくれるのかも。
「おじさん、りんご飴ちょうだい」
「あいよ、ルールはそこに貼ってあるとおり。
じゃんけんをして勝ったら2つ、負けたら1つ。いいね?」
「うっす」