青は奇跡




「じゃーんけんぽんっ!」


「よっしゃあ!」


「兄ちゃん強いなあ。

じゃあもうひとつもらっていいよ」


「ありがとさん」





振り返った夏川くんがわたしにひとつを手渡す。




わたしはあまり甘いものが得意ではなく、今までこういうものは避けてきたけれど、一度くらい食べてみてもいいんじゃないかという好奇心が刺激された。



きっとそれも、この空気のせい。





「ありがとう」



「ん」





透き通るような赤い飴は、オレンジ色の太陽の光を受けてもらった硝子玉のようだった。





「そんなに珍しいか」


「や、珍しいっていうか、初めてで……」


「ふうん」


「わたし、お祭り来てもたこ焼きとかラムネとかお腹にたまるもの買うことが多いから」






体育会系の男子みたいな発言で恥ずかしくなる。





1人の女の子として見てほしいと思ってしまうのは、どうしてだろう。





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