青は奇跡
飴を齧りながら歩いていると、少しずつ空の色が深みのあるオレンジ色に変わってきた。
提灯にも明かりが灯り、夜の匂いが優しくわたし達を包む。
「他に食べたいものないの?」
「……たこ焼き、食べたい」
「じゃあ買うか」
人波をものともせず夏川くんは歩いていく。
彼はとても背が高くて見失うことがない。
たこ焼き屋さんのおじさんにおまけを頼むことも忘れていない。
「多めにくれたから半分な」
「あ、ありがとう」
「ん」
食べながら、これって付き合っている人がすることなんじゃないか、と思った。
ただの勉強仲間にこんなことするわけ……。
なのに、わたしの心臓は何かに絞られたようにキュッとなる。
横を見ると、たこ焼きの湯気に目を細めながら食べる夏川くんがいる。
こんな綺麗な人と夏祭りをまわれているなんて、信じられない。