青は奇跡
2学期
今日は少し寝坊してしまった。
急ぎ足で教室に向かうと、既に誰かがいた。
新学期になってもクラスでいちばんに学校に来ていたから負けたみたいで悔しい。
誰だろう。
「……おはよ」
「……燦。おはよう」
やっぱり、何回見ても綺麗だ。
廊下からうっすらと射し込む朝日に真っ黒な髪の毛がよく映える。
その後は緊張して上手く続けられなかった。
さりげなく、今日早いね、と言おうと思ったのに。
まだ席替えはしていないからわたし達は隣だ。
ぎこちない動きで椅子に座ろうとした時、話しかけられた。
「千鶴」
「あ、うん」
「今日の放課後空いてる?」
「……放課後」
「忙しいならいいけど」
「大丈夫だよ」
「ん。あと、この前ごめんな。
予定ドタキャンして」
「……ああ、いいよ。気にしないで」