青は奇跡
「ただいま、ああもうこんな時間」
「おかえり。もうご飯食べちゃった」
「ごめんね、いつも家事やってもらっているしひとりで食べさせちゃって。
あ、そうそう、今度の週末お父さんとご飯食べに行こう」
スーパーのビニール袋から野菜や果物を取り出しながらお母さんが話す。
それから、卵を手早く冷蔵庫に入れていく。
そういう話を聞くと、わたしよりお母さんの方が疲れているはずなのに気を遣わせてしまうのが申し訳ないといつも思ってしまう。
でも、それを悟られないように笑顔を見せる。
「大丈夫だよ。週末楽しみだね」
「電話の調子からしていいことあったみたいよ」
「へえ、よかったじゃん」
それだけ返して自分の部屋に入った。
毎日のように繰り返される、このやりとり。
悪いことをしているわけではないから何も後ろめたいことはないはずなんだけど、どこか気持ちが落ち着かない。
言いたいけれど、言えない。
これも、わたしの悪い癖。