青は奇跡





わたしがぼんやりしている間にも、燦は帰る用意を済ませている。




こんなに毎日ドキドキしてしまうのは、わたしだけなのか。




燦は綺麗だからきっといろいろな人とこれまで付き合ってきたのかもしれない。




だからこんなに余裕で、飄々として、自信があるように見えるんだ。





「千鶴」


「……」


「千鶴?」


「あ、うん、帰るよね」




焦ったせいで日本語がおかしい。


その様子を見ている燦は可笑しそうに笑う。





「千鶴、動揺しすぎ。

今までどんだけ男と接触してこなかったんだよ」


「と、友達も全然いなかったから」


「じゃあ俺が色々と最初なんだな」


「そういうこと、かな」





わたしが言葉を返すと、燦はびっくりしたような、迷ったような、微笑んだような、よく分からない表情になった。




でもすぐにいつもの調子でわたしの準備が終わるのを待って歩き出した。





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