不細工芸人と言われても

雨が本当にバケツをひっくり返したように降ってきた。

「・・・・やばいな。コレ。」
「うん。」

俺はテレビを付けてみる。　どうやら一時的に強い雨が東京で降り、一部の地域では浸水も起きているようだった。

「明日、大丈夫かな。公共交通機関は動いてないんじゃないか？」
「うん、そうかも。」

二人で窓の外を見ていると、バツっと灯りが消える。

「ひゃっ！」
カホが、俺の腕を掴む。

「……………あー停電かな？」
近くのスマホを手探りで探して、スマホの灯りを頼りに窓の外を見る。

「うわー、東京真っ暗じゃん。」
23階から見下ろす下の街は、結構な感じで真っ暗だ。
カホは、まだ不安そうに俺の腕をしっかりと掴んでいる。

「…………どうしよう。」

「大丈夫、このマンションは自家発電があるから、しばらくするとちゃんとつくよ。」
「え、そうなの？」

そう言っていると、電気が点滅して、ウインっと冷蔵庫や他の家電が動き始める。


「すごい、さすが。高級タワーマンション。下の階のお家は、まだ停電中だね。ウチも真っ暗なんだろうなあ。」

俺の怨念が、効いたな。

「やっぱ、一晩泊まってく？俺は構わないよ。」