不細工芸人と言われても
久しぶりに、事務所の先輩やら仲間たち男だけ5、6人で馬鹿騒ぎしてどんちゃんした。
最近は、気乗りしないでずっと忙しいと断っていた。
でも、こうやっぱり仕事ばっかりしていると、ガス抜きをしたくなる。
俳優の仕事はおもしろいが、常に気を張っているし、現場では一番俺が素人で下っ端なわけで。
芸人の仲間達といると古巣に戻ったようで、ホッとする。

お姉ちゃんのいる店で浴びるように飲み、そのまま悪ノリで女を買う。
正直、久しぶりに女の肌に触れた。

朝起きて、ゲロ吐いて、そしてめちゃくちゃ落ち込む自分がいる。
何をやってるんだ、俺は。

その自分自身への嫌悪感の正体もわかっている。
俺は、男はつらいよのストーリーが嫌いだ。 まるで、自分そのまんまの生き写しじゃないのかと思う事がある。

都合が悪くなって、俺はまたあの寅次郎のように旅に出るかのようにその場からいなくなるのが一番だと考える。

一方的な想いは、告げずに、なかったことにすればいい。
もともと一人でいようと決めていたんだ。
前みたいに金がないわけじゃない。 こうやってたまに遊べばいいだけだ。

しばらく続いていたカホとの交換日記のようなやり取りは、俺の気まぐれで飽きたかのようにもうすっかり無くなっていた。
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