不細工芸人と言われても
よしのとは、同時代のお笑いブームを盛り上げる戦友のようなものだ。
お互い、バカだし、笑えるし、全く気を使わない相手と言っていいだろう。
散々、ロケで一緒の部屋に雑魚寝だってしたし、水着の撮影や絡みもあったし、それをいきなりこう色恋沙汰にされると、俺もどうしていいか戸惑ってしまう。
周りも、マジでお似合いだからって爆笑しながら冷やかしまくり、イジリまくってくる。
なんかこうやりにくい雰囲気が居心地を悪くする。
二人でホントはちゃんと話さなきゃならないんだろうが、ここまで世間が騒ぎ立てると二人でいることもはばかられる。
今日は年末特番の前撮りで、共演が決まっている。
絶対にこの話題に振られるのだろうが、どうやって裁くかどうやって場を沸かせるか、心して用意しておかなければならない。
俺は、深くため息をつく。
相方のカドスケが、ジッと俺を見る。
「なんだよ。」
「お悩みのようで。」
「色々やりにくくて嫌になるよ。」
「ホントの彼女がよしのに嫉妬しちゃったとか?」
カドスケはニヤニヤして聞いてくる。
「彼女なんかいない。 でもお姉ちゃんの店に行ってもウケが悪い。店に行ってもモテなくなった。」
「ああ、そりゃつまんねえよなあ。」
カドスケは、ゲラゲラ笑う。
「いっそのことホントに付き合うか?」
「もう、それ聞き飽きたぞ!」
「あ、キレた。」
俺は超絶不機嫌になる。
カドスケは、わるいわるいという仕草をする。
「よしのとは話した?今回の件で。」
「話せるわけないだろ。この状況で。」