不細工芸人と言われても
俺はこんな状況に戸惑っていた。
同じタクシーの中、となりに、カホ が座っている。
引っ込み思案のくせに、勝手に身体が動いたようなもんだ。
こんなことで、ちょっとドギマギしている自分が情けない。
俺は、クールな感じに装って
「家はどこなの?」
と、とりあえず聞いてみる。
「恵比寿です」
ま、マジか!? 俺は少しびっくりして思わずカホを見る。
カホは、え?という顔をして俺の眼をまっすぐ見て、首をかしげる。
「、、、、、一緒だ。」
「ホントに? 高岡さんも恵比寿なの? ご近所さんだ。ならご一緒させてもらってもいいか。 回り道させちゃうと悪いなあって思ってたんです。ありがとうございます。」
ちょっといたずらっぽく笑うカホはめちゃくちゃかわいい。
普段はほとんど化粧っ気はないが、今日はメイクをちゃんとしていて、ちょっとセクシーにみえる。
目があって、俺はドキッとする。
慌てて目をそらす。
なんか、、話題を。。
「今日の格好かわいいね。すごく似合ってる。」
俺はなーにを言ってるんだー!!!!!
恥ずかしくて、窓の外を見ながら思わずそう口に出していた。
カホは、少し照れたように笑って
「ありがとうございます。いつも、男みたいな格好ですからね。仕事の時は。少し今日はおしゃれしました。」
まあ、それもかわいいんだけど。君の場合は。。。。
「私、高岡さんの私服すごく好きですよ。シンプルだけど、いっつもオシャレじゃないですか。色の使い方もうまいし。」
またまた、持ち上げ方がうまい。でもカホに言われると嬉しい。けど、にやついた顔を必死に能面にしてなんとか取り繕う。
「不細工芸人なんで、なるべく清潔感とセンスにはこだわろうと思いましてね。」
「?なんで?高岡さん、カッコいいですよ。」
首をかしげてカホが言う。あ、また目が合ってしまった。
お世辞でも嬉しいこと言ってくれるじゃないか。
俺は苦笑する。
「高岡さんは、どこでお洋服買ってるんですか?めちゃかっこいいビンテージっぽいのさらっと着てるじゃないですか。」
「え、別にこだわりはないけど。でも古着が好きだから、代官山にはたまに行くよ。あとはネットとか・・」
「え、なんて店?」
「勉強熱心だねー。」
「ゆくゆくは、ファッション誌行きたいんです。しかもメンズ。なので、私の私服もメンズライクのものが多いんです。」
「へえ、そうなんだ。」
俺たちはファッションの話で少し盛り上がり、案外気を使わずにその少しの時間を楽しむことができた。
俺たちを乗せたタクシーが、恵比寿近辺に来た時、俺は尋ねる。
「恵比寿のどのへん?」
カホは詳しく、道筋を案内する。
聞けば、ものすごく近所じゃないか。
いや、というかほぼ隣の建物と言っていい。
俺たちは、揃ってタクシーを降りて、お互い驚き目を合わせる。
カホは、苦笑して俺の住んでいる高層マンションを見上げる。
「どんなお金持ちが住むんだろって思ってました。私のアパートの隣に建った時。」
そして私のアパートはここという感じで、指をさす。
木造のアパート、一応一等地だからワンルームバス付であっても9万くらいの家賃といったところか。
「俺も売れる前は、こんな感じのとこに住んでた。しかも、相方と一緒にね。」
そう言って、失言だったと気づく。
「あ、ゴメン。」
カホは、再び苦笑して
「私も、頑張ってひと旗あげなくちゃな。」とおどけて言う。
なんだか俺はカホに気を使わせちゃって申し訳なく思う。 気に入った娘と面と向かうとおもしろいこと一つも言えなくなるのも昔から俺は変わっていない。
俺が言葉に窮していると、カホはぺこりと頭を下げて、
「送っていただいてありがとうございます。 おやすみなさい。」
そう言って、アパートの門を開け、外階段をカンカンと小気味よく上がっていった。
同じタクシーの中、となりに、カホ が座っている。
引っ込み思案のくせに、勝手に身体が動いたようなもんだ。
こんなことで、ちょっとドギマギしている自分が情けない。
俺は、クールな感じに装って
「家はどこなの?」
と、とりあえず聞いてみる。
「恵比寿です」
ま、マジか!? 俺は少しびっくりして思わずカホを見る。
カホは、え?という顔をして俺の眼をまっすぐ見て、首をかしげる。
「、、、、、一緒だ。」
「ホントに? 高岡さんも恵比寿なの? ご近所さんだ。ならご一緒させてもらってもいいか。 回り道させちゃうと悪いなあって思ってたんです。ありがとうございます。」
ちょっといたずらっぽく笑うカホはめちゃくちゃかわいい。
普段はほとんど化粧っ気はないが、今日はメイクをちゃんとしていて、ちょっとセクシーにみえる。
目があって、俺はドキッとする。
慌てて目をそらす。
なんか、、話題を。。
「今日の格好かわいいね。すごく似合ってる。」
俺はなーにを言ってるんだー!!!!!
恥ずかしくて、窓の外を見ながら思わずそう口に出していた。
カホは、少し照れたように笑って
「ありがとうございます。いつも、男みたいな格好ですからね。仕事の時は。少し今日はおしゃれしました。」
まあ、それもかわいいんだけど。君の場合は。。。。
「私、高岡さんの私服すごく好きですよ。シンプルだけど、いっつもオシャレじゃないですか。色の使い方もうまいし。」
またまた、持ち上げ方がうまい。でもカホに言われると嬉しい。けど、にやついた顔を必死に能面にしてなんとか取り繕う。
「不細工芸人なんで、なるべく清潔感とセンスにはこだわろうと思いましてね。」
「?なんで?高岡さん、カッコいいですよ。」
首をかしげてカホが言う。あ、また目が合ってしまった。
お世辞でも嬉しいこと言ってくれるじゃないか。
俺は苦笑する。
「高岡さんは、どこでお洋服買ってるんですか?めちゃかっこいいビンテージっぽいのさらっと着てるじゃないですか。」
「え、別にこだわりはないけど。でも古着が好きだから、代官山にはたまに行くよ。あとはネットとか・・」
「え、なんて店?」
「勉強熱心だねー。」
「ゆくゆくは、ファッション誌行きたいんです。しかもメンズ。なので、私の私服もメンズライクのものが多いんです。」
「へえ、そうなんだ。」
俺たちはファッションの話で少し盛り上がり、案外気を使わずにその少しの時間を楽しむことができた。
俺たちを乗せたタクシーが、恵比寿近辺に来た時、俺は尋ねる。
「恵比寿のどのへん?」
カホは詳しく、道筋を案内する。
聞けば、ものすごく近所じゃないか。
いや、というかほぼ隣の建物と言っていい。
俺たちは、揃ってタクシーを降りて、お互い驚き目を合わせる。
カホは、苦笑して俺の住んでいる高層マンションを見上げる。
「どんなお金持ちが住むんだろって思ってました。私のアパートの隣に建った時。」
そして私のアパートはここという感じで、指をさす。
木造のアパート、一応一等地だからワンルームバス付であっても9万くらいの家賃といったところか。
「俺も売れる前は、こんな感じのとこに住んでた。しかも、相方と一緒にね。」
そう言って、失言だったと気づく。
「あ、ゴメン。」
カホは、再び苦笑して
「私も、頑張ってひと旗あげなくちゃな。」とおどけて言う。
なんだか俺はカホに気を使わせちゃって申し訳なく思う。 気に入った娘と面と向かうとおもしろいこと一つも言えなくなるのも昔から俺は変わっていない。
俺が言葉に窮していると、カホはぺこりと頭を下げて、
「送っていただいてありがとうございます。 おやすみなさい。」
そう言って、アパートの門を開け、外階段をカンカンと小気味よく上がっていった。